(認知症の患者さんたちは)自己を見失い、、これまでの人生も失なって、悩み 苦しんでいる。

ときにひどいことを言ったり、暴力をふるったりすることもあるが、それはね、彼らがそれだけ苦しんでいる証なんですよ。(P138)

唯一の寄る辺となるはずのじぶんじしんからも、取り残され、切り離されていく。確かなものが何ひとつない空間に、たったひとりで漂っているようなものです。あまりにも深い孤独と混沌ですよ。その不安と苛立ちのなかで、患者さんたちは日々、恐怖に直面しているんです。(P137)

北國浩二著『嘘』より。
認知症患者の孝蔵の同級生であり、医者である亀田が、孝蔵の娘千紗子に話した言葉。

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