お別れする人には花の名前を教えておきなさいって。花は毎年、必ず咲くからっ て。有川浩 #book #dokusyo

有川浩『三匹のおっさん ふたたび』の最後に収められている『好きだよと言えずに初恋は、』の中から。

<<<<<< 「渡し忘れたっていうより、教え損ねた。花の名前。何で教えたかったかっていうと・・・・・」 彼は少し言い淀んでから顔を上げた。 「うちのお母さんが、お別れする人には花の名前を教えておきなさいって。花は毎年、必ず咲くからって」 まっすぐに静かな眼差しを向けられて、心臓が早鐘のように鳴った。 割れそうだ。 ・・・・ (女子高に入ってから) 現国の教科書に、川端康成の『雪国』が一部抜粋で載っていた。 教師はウンチク好きで、筆者の略歴を説明するとき小話をあれこれ付け足した。 その小ネタの中に、川端康成の言葉があった。 別れる男に花の名前を一つ教えておきなさい。花は必ず毎年咲きます。 不意に苦くて甘い思い出が蘇った。 小学校の卒業間際、転校が決まっていた潤子にちっぽけな花の名前をいくつも教えた男の子。 教科書の文字か滲んだ。ページの上でパタパタと水が弾けた。 >>>>>>>

花の名前を教えることで、その花を教えた自分を思い出してもらいたい、思い出させたい、ということだろう。
まさに潤子は思い出した。好きな人だったから一生懸命に教えてくれたんだということに改めて気づいた。

いじめられている生徒がいても、周りを気にせずいじめられている生徒に関わろうとする生徒がいてくれると、いじめもなくなるのだろうに。

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