本日は、暑い中、念佛寺の盆施餓鬼会にお集まりいただきありがとうございます。さて、今年は例年の半分の19日間で梅雨が終わってしまいました。水不足地域もあり、米ができにくい状況もあるようです。8月になって政府もコメ政策を大きく転換するという報道がありました。

ところで、梅雨と言えば、紫陽花の花や葉にカタツムリがすぐ絵として浮かんできます。「でんでんむしむし、かたつむり、お前の目玉はどこにある、つのだせやりだせ、めだまだせ」などと口ずさみながら「左右見て手を挙げ渡るかたつむり」という俳句をつくり、7月号広報誌に載せてもらいました。「つの、やり」をスマホで調べていて、驚きました。カタツムリには雄雌がない雌雄同体だそうです。2匹のカタツムリが互いに精子を交換し、その後、両方が卵を産むということです。子どものころからよく見てきたカタツムリのこの生態に驚きました。

日本でも最近、男性の育児休暇という制度ができていますが、まだまだ取得率は低いようです。また他の生物に目を移すと、アフリカンシクリッドなどシクリッド科の魚などでは、オスあるいはメスが卵を口の中で保護し、孵化後もしばらくの間、稚魚を口の中で育てるそうです。またダーウィンハナガエルはオスがメスが産んだ卵を口の中で孵化まで育てるそうです。

国語辞書づくりをテーマにした三浦しをん原作の「舟を編む」は、2011年に発行され、本屋大賞を受賞しました。13年には映画が公開され、16年にはテレビアニメ化もされました。NHKBSテレビでも2024年2月から全10話のドラマが放送されました。今、その高評価を受け、より多くの人に見てもらえるNHK総合テレビで再放送されていました。8月12日に第9話が放送され、19日が最終話になります。この中で、ファッション雑誌部門から移動してきた岸部みどり(池田エライザ)さんが、「恋愛はどうして、異性とか、男女の間、って制限しているのですか? おかしいじゃないですか?」という発言をしていました。男とか女とか分けなくても同姓でも恋愛があってもいいのではという問題提起でした。「LGBTQ+」(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア/クエスチョニング)の人が日本で3%〜10%と言われています。例えば左利きの人、AB型の人が日本に約10%いるといわれています。左利きや血液型AB型と同じに考えればいいのではないですか、と。こうして彼女自身が言葉の意味を示す辞書作りに向き合っていきました。

さて浄土宗のよりどころの無量寿経には、四十八願の4番目に「{無有好醜願(むうこうしゅがん)}私が仏となる以上、私の国土に住む人々や天人の姿形がまちまちで美しい・醜いといった差があるようならば、私は仏となるわけにはいかない。(第3願には、国土に住む人々や天人の肌が、一人でも金色に輝いていないことが、あるならば、私は仏となるわけにはいかない。」という誓いがあります。

 法然上人は、「念仏往生の誓願は平等の慈悲に住しておこし給いたる事にて候えば、人をきらう事は、またく候わぬなり。されば「観無量寿経」には、仏心というは大慈悲これなりとときて候なり。善導和尚この文をうけては、この平等の慈悲をもて、あまねく一切を摂すと釈し給えるなり。一切のことばひろくして、もるる人候べからず。」と述べています。人を分け隔てするということは決してないのです。ただその名を呼べば、いかなる特性の者までも如来はひとりも漏らさず救ってくださる。それが阿弥陀さまの極楽浄土なのです。まさに究極のバリアフリーの世界なのです。

 ご先祖様たちは、いち早く、極楽浄土の平等で平安なる世界で、お過ごしになっている様子を思い浮かべながら、最後に皆様とともに十念を称えて法話を終わりたいと思います。

如来大慈悲哀愍護念。同唱十念。